2010年12月25日土曜日

Oxytocin shapes the neural circuitry of trust and trust adaptation in humans.

Baumgartner T, Heinrichs M, Vonlanthen A, Fischbacher U, Fehr E.
Neuron. 2008 May 22;58(4):639-50.

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背景:
オキシトシン(神経ペプチドホルモン)を経鼻吸収すると、信頼ゲームで「他者への信頼」が増加することが知られている。

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実験(オキシトシンを経鼻吸収した被験者がfMRI中で信頼ゲーム):
被験者:オキシトシン群(オキシトシンを経鼻吸収)、プラシボー群(無関係な物質を経鼻吸収)。

fMRI実験タスク:信頼ゲーム、リスクゲーム(信頼ゲームと利得構造は同じだが相手は計算機≒ギャンブル)。

なおゲームの結果は途中で被験者にフィードバックされる。
フェーズ:フィードバック前、フィードバック後。

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結果:
行動データ:
・プラシボー群:信頼ゲームで、フィードバック前は他者を信頼 → フィードバック後は学習してあまり信頼しなくなる。
・オキシトシン群:信頼ゲームで、フィードバック後も一貫して他者を信頼。
リスクゲームではプラシボー群とオキシトシン群で違いなし → オキシトシンは「他者への信頼」に影響を与えるが、それはリスクに鈍感になるからではない。
→ 先行研究と一致。

fMRIデータ:
プラシボ群 > オキシトシン群となる脳部位(オキシトシンにより抑制される脳部位)を特定
・フィードバック前:ACC
・フィードバック後:amygdala, midbrain and caudate
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考察:
オキシトシンによってamygdalaとmidbrainの活動が阻害されている。これらの部位は「怖れ」に関連する部位。
→オキシトシンによって、「他者を信頼して、裏切られるリスク」に鈍感になる(注:ギャンブルのような非社会的リスクに対する態度は変わらない)。

オキシトシンによってcaudateの活動が阻害されている。
caudateは報酬を手掛かりに学習するのに重要。
本課題では、他者の信頼度を学習していかないといけない(実際、プラシボー群の被験者は信頼ゲームで、フィードバック前は他者を信頼 → フィードバック後は学習してあまり信頼しなくなる)。
しかし、オキシトシン群の被験者はcaudateの学習が抑制されてこの学習がうまくできないため、他者を信頼し続ける。

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