2012年2月26日日曜日

Neural evidence for inequality-averse social preferences


Elizabeth Tricomi, Antonio Rangel, Colin F. Camerer & John P. O’Doherty
Nature 463:1089 (2010)

昨夜のNHKスペシャル「ヒューマン なぜ人間になれたのか 第4集 そしてお金が生まれた」で紹介されていたので、改めて読んでみた。

背景:
社会科学の世界では、人間が「不平等回避傾向」を持つ事が知られている。
しかし、その神経科学的基盤はよく分かっていない。
この研究では、食べ物・飲み物やお金などに反応する事が知られている報酬系脳部位の活動、ventral striatum(副側線条体)とvmPFC(ventromedial prefrontal cortex:前頭前野内腹側部)、が「不平等回避傾向」と一致するのか否かを確かめた。

実験:
まず、被験者は「Rich」と「Poor」のグループにランダムに分けられる。
Rich:無条件に$50のボーナスが貰える
Poor:何も貰えない
その後、MRIスキャナーの中で、被験者は「お金が自分か他人に支払われる」のを見て、その望ましさを答える(「Very appealing」から「Very unappealing」まで十段階)。

行動データ:
Richグループの被験者は「お金がPoorグループの被験者に支払われる」ことをポジティブに評価した。
一方、Poorグループの被験者は「お金がRichグループの被験者に支払われる」ことをネガティブに評価した。
(ちなみに、どちらのグループの被験者も「自分にお金が支払われる」ことはポジティブに評価した)
→これは「不平等回避傾向」に一致する

fMRIデータ:
報酬系、ventral striatum & vmPFC、の活動は、
Richグループでは「他の被験者(Poorグループ)にお金が支払われた」時の方が「自分(Rich)に支払われた」時より活発であり、Poorグループではその逆。
→これは「不平等回避傾向」に一致する

結論:
社会科学で知られていた「不平等回避傾向」の妥当性が神経科学的にも確かめられた。

感想:
「報酬系の活動が社会的効用(不平等回避)にモジュレートされるか?」という問いを立てる事で、Reverse InferenceやMultiple Comparisonといった厄介な問題を巧妙に避けているのが印象的。

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